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種別・銘

刀 長曽祢興正
Katana Nagasone Okimasa
鑑定書・資料 第四十六回重要刀剣指定 [N.B.T.H.K]Juyo Token No.46
寸法 長さ(blade length)71.65cm 反り(Sori)1.1cm
元幅(Motohaba)3.06cm 元重ね(Mtokasane)0.72cm 先幅(Sakihaba)2cm 先重ね(Sakikasane)0.55cm
※棟の高さを含めない協会の計測値 元幅2.9cm 先幅1.9cm
時代・国 新刀 上々作 最上大業物 武蔵
形状 鎬造、庵棟、身幅やや広く、元先の幅差つき、踏張りごころがあり、反り浅く、中切先。
鍛肌 板目つみ、杢・大板目ごころ交じり、地沸微塵に厚くつき、地景細かによく入り、かね冴える。
刃文 浅く大きなのたれを基調とし、物打辺焼幅を広め、互の目足さかんに入り、葉を交え、匂深く、処々匂口ややむらとなり、小沸厚くつき、少しく刃縁ほつれ、細かに金筋・砂流しかかり、匂口明るく冴える。
帽子 焼き深く、直ぐに小丸に返り、先さかんに掃きかける。
彫物 なし。
うぶ、先栗尻、鑢目勝手下り。
説明

 長曽祢興正は通説に、長曽祢虎徹の門に学び、後に養子となって虎徹の二代目を継承したと伝えている。経眼するもので最も遡る年紀は、寛文十三年であり、その最終は元禄三年である。技量は師についで上手であり、師虎徹の作品の中にもおそらく彼の代作が含まれていると考えられる。

 この刀は、板目がつみ、杢と大板目が交じった鍛えに、地沸が微塵に厚くつき、地景が細かによく入っている。刃文は浅く大きなのたれを基調とし、互の目足ががさかんに入り、葉を交え、匂深で、小沸が厚くつき、少しく刃縁がほつれ、細かに金筋。砂流しがかかるなどの出来口をあらわしている。この工が得意とする数珠刃風の作域とはいささか趣を異にした浅い大のたれを見せているが、小沸が厚くつき、互の目足がさかんに入っている態には興正の特色が看て取れる。また匂深で、小沸が厚くつき、地刃共に明るく冴えわたっている様は、この工ならではのものがあり、彼の技量の硬さが窺い知れる。一脈、和泉守兼重の作柄に相通じる出来であり、和泉守兼重と乕徹一門との関係を察知させるものがある。興正の一作風として上々の出来栄えを示しており、殊に焼刃には放胆さが感ぜられる。同工の作風を研究する上に於いて、資料的価値も高い。

 

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